・オイルミストコレクター
・DOP除去装置
ミスト除去装置(ミストコレクター)にはいろいろなタイプが市場に登場しましたが、何れも決定的な製品はほどんど見られません。
白煙を構成するミストは1μよりもはるかに小さく、ミストの流体ボリュームから見ると数μから数十μが容量的に大きいため、白煙成分である微粒子は別途考慮する必要がありました。
この結果、一般的には白煙を除去するために超微細なフィルターはオプションとして提供されてはいるものの、これを採用するリスクは後々大幅なメンテナンス作業の増加が不可避となるため、白煙除去を断念せざるを得ない場合が多々ありました。
比較的大きな液滴から超微細ミストまでサイズ別に補捉される作用を大きく分類すると
A. 慣性による内部衝突(インパクション)
B. 繊維による遮断(インターセプション)
C. 微粒子の分子運動(ブラウニアン)
に分別できます。
実際にはA~Cは厳格な境界は無く、メディアを通過する速度によってもその効果は変わります。
また、理想的なメディアとしては
a. 太さが無視できるほどの極細繊維を用いる
b. 太さに対して一定の間隔で繊維を配列する
c. 繊維の積層厚を可能な限り厚くする
これ等a~cは運転時の圧力損失を可能な限り低くすると同時に、ミストの補捉による圧力損失の増加を抑えることにあります。
つまり長期にわたって安定してミスト補捉能力が維持できる点が、従来の超微細目フィルターによるミスト除去装置と大きく異なる点です。
ここで先に分別した補捉作用を説明致します。単純化するため複雑に絡み合った極細繊維は一本のみ図示しています。
A. 慣性による内部衝突(インパクション)
粒子径がある程度大きいと、慣性により気体のように繊維を回り込んで曲がることができず、直進しようとしてやがて何れかの繊維に衝突します。液体は粘性を持つため、繊維に付着し補捉されるのです。
B. 繊維による遮断(インターセプション)
上記A.よりもう少し粒子径が小さくなると慣性はもう少し小さくなり、流路を曲がることができますが、粒子の側面が繊維表面に触れます。しかし、繊維に触れることによって補捉される効果だけでは充分な除去はできないのです。最大の効果は親液性の高い繊維の表面は先に補捉された液滴によりコーティングされた状態になっており、この状態の繊維間をミストが通過するとき融合(コアレス)が起こることにより大きな補捉効果が得られるのです。
C. 微粒子の分子運動(ブラウニアン)
更に粒子径が小さくなり(白煙のようなサブミクロン粒子)慣性力が無視できるレンジになると粒子の分子運動が大きくなります。液体中の固形粒子がブラウン運動していることは良く知られておりますが、同様に気体中に浮遊する微粒子もブラウン運動しており、微粒子が流路に占める見かけ上の占有面積が大きくなり、微粒子サイズが小さくなればブラウン運動も大きくなりますので、粒子径が小さくなっても補捉効率は急激には劣化しないのです。こうして見かけ上占有面積が大きくなった微細ミストは前述Bと同様に融合作用により繊維に補捉されます。
前述のようにa~cを満足する理想的なメディアを用いてA~Cの補捉効果を巧みに実現させたNEPミストエリミネーターのミスト補捉効率は一時的な性能ではありません。
メディアa~cの構造を必要とした理由は、常に融合作用により補捉されたミストは凝集して重力により滴下し、その結果差圧の増加を防ぎます。
従来の、圧力損失が大きくなって行くような装置では押込み用のブースターブロワーが不可欠で、その上、モーターやブロワーが汚れた環境下に置かれるので好ましくありませんでした。
NEPミストエリミネーターには専用の吸引ブロワーを開発したため、モーターやブロワーが常に清浄な環境下に置かれておりますので、優れた除去性能のみならず、
メンテナンス上でも従来品とは一線を画すものとなっています。